『大学新入生に薦める101冊の本』という本が広島大学総合科学部101冊
の本プロジェクトから平成17年3月18日に発売されました。
「文理横断型の知」を強調し、19世紀以降、特に20世紀の本を中心に
紹介したブックガイド(目次、索引込みで276ページ)です。
完成するまで紆余曲折あったものの、結構よい本に仕上がった気がします。
(手前味噌ではありますが・・・。)私は『055 ゲーデル、エッシャー、バッハ(GEB)』を担当しています。 この種の書評は「正確さよりも、読みやすく」が大事だと思っています。 そのため、専門家には不正確な言い回しも目に付くと思いますが、 悪意はないのでそのあたりのご批判はご勘弁下さい。 とは言いながら、この書評はGEBにならって謎を多く散りばめたので、 はじめて読んで全て分かるようにはできていません。 ぜひともGEBを読み進めて、それらの謎を読み解いてくれる人がいると嬉しいのですが。
書評で書けなかった事を追加します。GEBは英語版777ページ
(日本語版765ページもうまく数えると・・・、この数に注意)と長いので、
最初はアキレスと亀(とその他)の対話劇のところを中心に
読み通してみてください。
その際、エッシャーの絵をよく見ること、バッハの音楽をよく聴くことで、
頭と目と耳をフルに使って楽しむ、ということが大事です。
そのあとは、興味を持ったところから
少しずつ読み進めていくという方法をお勧めします。
読むたびに、きっと新しい発見があることでしょう。
(探すようにして注意深く読む必要があります。)
![[Godel]](./image/godel.jpg)
ゲーデルの定理の背景や証明については、中級者向けですが
『ゲーデルの世界』(海鳴社、廣瀬健・横田一正著)を
参考にするといいと思います。
また、『エッシャーの宇宙』(朝日新聞社、ブルーノ・エルンスト著)
は見て楽しめる本です。
さらに、バッハの曲もたくさん出てきますが、まずは『音楽の捧げもの』を
買っておきましょう。6声のリチェルカーレ(フーガ)はバッハの自筆譜では
2段譜のチェンバロ曲で、
私はリヒター盤(ARCHIV)を購入しました。
音楽之友社のミニチュアスコア『音楽の捧げもの』からは、
バッハの謎かけを読みとることができます。
なお、midi曲を新バッハ工房で聞くことができます。
ありがたいですね。
あとGEBの書評のヒントをちょっと。
・GEBが他のどんな本よりも優れている、と言いたいわけではありません。
(この世の中には、とても素晴しい本がたくさんあります。)
・同じ言葉でも言う人(亀)が違うと、実はずいぶんと意味が違います。
(その違いこそが、とても面白いところなのです。)
・色んなことば遊びや謎かけが、隠されています。
(一番の大仕掛けに気づいてくれると、とても嬉しいですね。)
・・・といったような、評者たちのそれぞれの本に対する強い思い入れや愛情が、
このブックガイドにはつまっています。
私も影響を受けて、紹介されている本を少しずつ読み進めています。
結論。四の五のいわずに買いましょう!これはお買い得な本だと思います。
『101冊の本』が発売されて5ヶ月になりました。
この間半分程度の本(60冊)を購入し、そのうち35冊ほど読んでみました。
さすがにたくさんの本から選ばれただけあって内容が濃いものが多く、
興味深く読むことが出来ました。
なお、『101冊の本』のうち興味を引いたものは、
読んだことがあるものを除いて8割程度でした。
せっかくなので、これから3年計画くらいで101冊の本を揃えて読みたいものです。