講演者氏名:松野 一夫
講演題目:楕円曲線のTate-Shafarevich群のp-rankについて
所属:首都大学東京 都市教養学部理工学系 数理科学コース
講演内容の簡単な説明:
p が 7 以下の素数または p=13 の場合に, 有理数体上の楕円曲線の
Tate-Shafarevich 群の p-rank は任意に大きな値を取り得る,
という結果を紹介します. 証明にはそれらの p で, 任意に大きな
岩澤λ不変量を持つような楕円曲線の構成法を使います.
講演者氏名:岡野 恵司
講演題目:$p$ 類体塔に関するいくつかの問題(藤井 俊 氏との共同研究)
所属:早稲田大学大学院理工学研究科
講演内容の簡単な説明:
代数体の円分的 $Bbb{Z}_p$ 拡大体とその最大不分岐 pro-$p$ 拡大の間のガロア群が,ランク2以上の自由 pro-$p$ 群となるような例は,現在まで知られていない.
今回はそのようなガロア群が存在した場合に,円分的 $Bbb{Z}_p$ 拡大の
中間体の $p$ 類体塔に関してどのような性質が導かれるかをお話します.
特に,そのようなガロア群が存在した場合,Farshid Hajir 氏の問題
---$p$ 類体塔が無限次になるとき,そのガロア群は捩れ元をもたないのではないか---
についての反例が比較的容易に構成できてしまうことを中心にお話します
講演者氏名:中澤 直也
講演題目:巡回的なF_{p}-有理点群をもつ楕円曲線の族の構成−genus 0のGamma_{0}(N)に
関するモジュラー関数体A_{0}(N)を用いて
所属:大阪府立大学理学系研究科
講演内容の簡単な説明:
2003年の「第5回・代数学と計算」(AC03)および早稲田大学整数論セミナーでは,
$\Gamma(5)$のmodular関数体の$\mathbf{C}(j)$上$5$次部分体の定義方程式
$j=X^5+5X^4+40X^3$を用いて構成した楕円曲線の例について講演した.
今回は,modular invariant関数$J$の$A_{0}(N)$の生成元による表示を用いて,
同様のことを考えた.
実際,$N=2,3,5,7,13$すなわち$N$が素数でgenus$0$の場合について,具体的な楕円曲線の系列を
構成することができた.
講演者氏名:堀江 太郎
講演題目:Siegel 関数と Dedekind 和
所属:鈴鹿工業高等専門学校
講演内容の簡単な説明:
保型関数論で重要な Siegel 関数の対数について Meyer、Schoeneberg らによる重要な仕事があり、
満足する理論が出来上がっている。この講演では、それらのものとは若干異なった定式化とともに
より直接的でシンプルな証明を与える。また、それを Siegel 関数の変換法則を明快に与える
Kanou の結果と比較し、 Weierstrass $sigma$ 関数の対数についての一注意を与えたい。
講演者氏名:中村 隆
講演題目:Hurwitz-Lerch zeta 関数と関連する話題
所属:名古屋大学大学院多元数理科学研究科
講演内容の簡単な説明:
Hurwitz-Lerch zeta 関数を用いて既存の関数、たとえば
digamma, gamma 関数を拡張し、その性質を考えます。
それにより既知の結果の証明を簡略化し、良く知られた
関数についての新しい等式も得ることができます。
Key wordsは
Hurwitz-Lerch zeta functions, digamma function,
gamma function, transcendental number
講演者氏名:鈴木 正俊
講演題目:非可換ゼータ関数のRiemann予想について
所属:名古屋大学大学院多元数理科学研究科
講演内容の簡単な説明:
近年L.Wengにより定義された非可換ゼータ関数が階数2の場合には
Riemann予想の類似を満たすという結果について述べる。
証明のポイントは単純なので証明についても言及したい。
この結果はJ.C.Lagariasとの共同研究による。
講演者氏名:平之内 俊郎
講演題目:Finiteness of abelian fundamental groups with restricted ramification
所属:九州大学大学院数理学府
講演内容の簡単な説明:
正規スキームに対して
エタール基本群の或る商にあたる数論的基本群を導入する.
エタール基本群が不分岐被覆を統制する群であるのと同様に,
この基本群は与えられた因子上で,
暴分岐を含むより複雑な分岐を許した被覆を統制する.
また数論的スキームに対してはこの基本群の Abel 化が有限なる事を紹介する.
講演者氏名:原田 新也
講演題目:局所体の mod $p$ ガロア表現の有限性について
所属:九州大学大学院数理学府
講演内容の簡単な説明:
mod $p$ ガロア表現の有限性については大域体の場合に多くの結果が得
られています.今回は局所体の絶対ガロア群の mod $p$ 表現について,
分岐と剰余次数をおさえた場合に有限性が得られることを示します.ま
た局所体の分岐をおさえた完全分岐アーベル拡大の個数をうまく計算す
ることができたので,それを用いて,既約表現の場合に表現の核として
現れるような有限次ガロア拡大の個数を評価します.
講演者氏名:三枝 洋一
講演題目:Picard-Lefschetz公式のp進類似について
所属:東京大学大学院数理科学研究科
講演内容の簡単な説明:
混標数完備離散付値環上の固有かつgenerically smoothな族に対し,一般ファイバーの
de Rhamコホモロジーと特殊ファイバーのリジッドコホモロジーのずれをはかる
消滅サイクル加群が構成できる.さらに考えている族が高々通常2重点を持つ退化の場合には,
古典的なPicard-Lefschetz公式の類似が成立する.
これらについて紹介したい.
講演者氏名:近藤 智、安田 正大
講演題目:Drinfeld modular variety と L-関数の特殊値について I, II
所属:京大・数理研
講演内容の簡単な説明:
Beilinson 予想は, 代数体上の多様体の Hasse-Weil L-関数の特殊値と
代数的 K-群との関係を予想する. 本講演では, その関数体類似を,
Drinfeld modular 多様体に対して追究する.
講演者氏名:鍬田 政人
講演題目:楕円曲線の二次ツイストの階数と超楕円曲線
所属:中央大学
講演内容の簡単な説明:
$E : y2 = x3 + Ax + B$ を有理数体上定義された楕円曲線としたとき、$
E^d$ で $E$ を有理数 $d$ で捻った曲線 $dy^2 = x3 + Ax + B$ を表す。
$d$ をいろいろ変化させたとき Mordell-Weil 群 $E^d(mathbf Q)$ の階数
が何らかの意味で頻繁に大きくなる(3以上になる)ような $E$ をみつけ
たい。そのために、有理数係数の多項式 $d(t)$ で $E^{d(t)}$ の
$mathbf Q(t)$ 上の Mordell-Weil群の階数が3以上になるようなものを探
す。これは $s^2 = d(t)$ で定義される超楕円曲線 $C$ のヤコビ多様体
$J(C)$ が $Etimes Etimes E$ を含むということである。ここで $C$
の種数はなるべく小さくなるようにしたいが、とくに $C$ の種数がちょう
ど3となるようにできるかについて論じたい。
講演者氏名:中村 吉秀
講演題目:線形群のハッセ原理
所属:大阪大学大学院理学研究科数学専攻
講演内容の簡単な説明:
小野孝氏によって考えられた群のハッセ原理は、
自己同型群のある種の構造を与えるものである。
簡単な群の場合を説明した後に、
斜体上や、環上の線形群の場合について説明する。
講演者氏名:望月 哲史
講演題目:Algebraic K-theory of the stable automorophism group of free group (Joint work with Takao Sato)
所属:東大数理科学
講演内容の簡単な説明:
In my talk, we propsoe the new method of the calculation of the homology groups of relating the stable automorphism group of free group. First, we introduce algebraic K-theory of the stable automorophism group of free group, and reinterpret the old Gersten`s result in the view of this point. This reintepretaiton leads us to formulate new conjecture so-called `cone vanishing conjecture' .
Finally, We give the evidence of this conjecture.
講演者氏名:伊藤 哲史
講演題目:Hasse invariants for some unitary Shimura varieties
所属:京都大学理学研究科
講演内容の簡単な説明:
正標数のモジュラー曲線の研究において,いわゆるHasse不変量が重要な
役割を果たすことが知られています.この講演では,Hasse不変量の高次元化
の試みとして最近得られたことを中心に話させていただきたいと思います.
具体的には,無限素点における符号が (1,n) であるユニタリ型志村多様体を
標数 p>0 で考えます.このような志村多様体は,DrinfeldやHarris-Taylor
の仕事により,普遍p可除群のp階数に応じたstratificationが入ることが
知られています.ここで,Ekedahl-Oort理論の手法を応用することで,
各p階数stratumの閉包の上に,ある種の直線束の切断を定めることが
できます.この切断は,ちょうどp階数stratumの境界(p階数が下がっている
部分)でのみ零点を持ち,まさに古典的なHasse不変量の高次元化とでも
呼ばれるべきものです.この講演では,このようにして得られた
「高次元版Hasse不変量」の志村多様体の幾何学への応用についても触れたい
と思います.
講演者氏名:小松 亨
講演題目:Easy sequencing of cyclic cubic fields
所属:九州大学数理学研究院
講演内容の簡単な説明:
以前に考えた2次降下クンマー理論を
用いて3次巡回体の数表を作成する方法を述べる。
同導手で非同型な体の識別の為に利用するArtin記号の計算等に
ついて解説する。