ここまで、二次形式の問題から二次体の重要な量を引き出してこようとしました。
判別式(除外した素数たちと関係)、そして相互律、イデアル類群、
あとは x2-2y2=1 で現れる単数です。
高木先生の本では、
「Gaussの「整数論」では克明に無理数を忌避して、二次形式を専用しているけれども、
それは一種の韜晦であって、頭の中ではωによって構成した理論を発表するのに
fを籍りたかの観がある。特にωが虚数(D<0)の場合に、
このカムフラージュが最も周到であったのは、当時の数学会の虚数に対する
蒙昧な態度を考慮して、Gaussのいわゆる頑迷者流の誤解を予防するに
至当な戒心であったかと推察される」
とあります。
しかしながら、いまや虚数は市民権を(きっと)得ていると思われるので、
代数体は多くのひとに受け入れられる概念のはずです。
(やってみましょう!)
有理数係数の一変数代数方程式のいくつかの解を有理数体に加えた体
は有理数体上有限次の拡大体となります。
このような体を有限次代数体とよびます。
有限次代数体Kのなかで普通の整数係数多項式(最高次の係数は1)の解となるものを
すべて集めたものOをKの整数環といいます。
K/Qで分岐する素数を表わすものとして判別式D、
Oの単数全体E、Oのイデアル類群C こういったものが興味の対象となります。
このような定義からは想像もつかないかもしれませんが、
代数体にも抽象的ではあるけれども幾何を感じさせる
性質があります。
それらは拡大における自己同型であるとか、
分岐の様子、またそのL関数の値であるとか、
さまざまな場面で類似として現れます。
といってそれを絵にしたり文章にしたりすることは、
なかなか難しいものです。
多くの数論家が大変な興味をもつものとして
有理数体の代数拡大をすべて集めたものの有理数体上の自己同型群
絶対Galois群があります。
類体論によってアーベル拡大を理解したように、
この巨大で重要な群を理解する大きな夢が残っています。
また具体的には多くの問題が分かっていません。
たとえば、